「あみ子」から「あひる」へ、 今村夏子の戦ったもの ─ その1
『5年後の再スタート』 日本文学史に残るであろう大傑作『こちらあみ子』を発表した今村夏子さんはその後、約5年間沈黙しました。これは仕方のないことだと思います。前に書いたあみこの評論でも述べましたが、あんなとんでもない作品...
『5年後の再スタート』 日本文学史に残るであろう大傑作『こちらあみ子』を発表した今村夏子さんはその後、約5年間沈黙しました。これは仕方のないことだと思います。前に書いたあみこの評論でも述べましたが、あんなとんでもない作品...
『ローカルとグローバルの対立』 本作においては主人公ダニーと恋人クリスチャンの駆け引きが「ローカル=土着的なホルガ村の慣習」と「グローバル=世界的で現代的な価値観」の対立に姿を変えて展開されます。これはその1で述べた、ナ...
『多幸感溢れるドラッグムービー』 アリ・アスター監督の最新作『ミッドサマー』はホラー映画と定義されています。けれど僕が特殊なのだと思いますが一秒たりとも怖いとか、目を背けたくなるというシーンはありませんでした。代わりに感...
『三人称と、巧妙な仕掛け』 今作で見事だと唸ったのが今村さんがあえて三人称でこの小説を書いたこと。加えてその使い方です。僕は小説家でないので分からない部分はありますが、それでも文章を生業にする人間の端くれとして、通常『こ...
『あみ子=この社会の外で生きる者』 『こちらあみ子』がなぜ大傑作たり得たのか。当然ながら一言で語り切れるものではありませんが、それでも最も大きな理由として、今村さんが「あみ子」を発明したからに他ならないでしょう。この一大...
『日本文学史に残るであろう大傑作』 小説家(芥川賞作家)、今村夏子さんのデビュー作であり、かつ大傑作である『こちらあみ子』を読んだ人なら頷いてくれると思うのですが、初読後はちょっと言葉が出ませんでした……。なぜならこの作...
『連作を通して、浮かび上がってくるもの』 この本では3度の離婚を経て、シングルマザーとして4人の子供を育てるに加え、そのために就いた様々な職業体験や自身を苦しめたアルコール中毒。脊椎側彎症とそれに端を発する幼少期に受けた...
『呪いとの対峙』 読まれた方なら分かる通り、彼女の人生は通常なら、何度も生き直さないと経験できないようなそれはユニークなものでした。 さらにユニークさに加え、それ以上に壮絶な人生でした。 これは人生に暗い影を投げかける壮...
『ルシア・ベルリンという人生』 本屋を巡っていると何の予備知識もないのに、ふとある本を手に取り、買ってしまう、そんな事ってありますよね。さらにそれが大当たりだったりする。僕の場合、そんな嗅覚を刺激する要素の一つに本の持つ...
『家族=束の間の安息を得た、アムロ・レイ』 幾多の苦難を経て、アムロは最後で遂に求めていた「家族」を手に入れます。それは他でもない、これまで一緒に戦ってきたホワイトベースの仲間たちでした。ア・バオア・クーの底で一度は死を...