政治×宗教×エンターテイメント=漫画による魂の総合小説「堕天作戦」が物凄い!— その2【完】
『漫画というエンターテイメントで、宗教を描く』 その1では漫画における総合小説の一例として、「進撃の巨人」を挙げました。過去の評論の中で僕は「進撃の巨人」が出色なのは、高慢で有効性のない理想論を鼻で笑う、現実世界に根ざし...
『漫画というエンターテイメントで、宗教を描く』 その1では漫画における総合小説の一例として、「進撃の巨人」を挙げました。過去の評論の中で僕は「進撃の巨人」が出色なのは、高慢で有効性のない理想論を鼻で笑う、現実世界に根ざし...
『個人的には、歴代最高クラスの漫画です』 はぁ〜幸せ〜っ。現在発売されている「堕天作戦」全6巻を数時間で一気読みした後、至福のため息が漏れました。と同時に作者である山本章一さんに対して、あんたさ、何喰って、どう生きてれば...
『人は厄災に立ち向かってはならない』 本作の真の勝者は主人公の定助ではなく、東方家の母、花都(かあと)です。彼女はあえて先祖の「罪」を背負い、己の命を代償に「罪」を償うことで、家族の「祝福=呪いの解除」を得ました。まさに...
『なぜ回転は、この世の理を越えていけるのか』 前作「スティール・ボール・ラン」に続き、今作でも「回転」は非常に重要な役割を占めています。作中で定助は己のスタンドの進化形『S&W越えていく(ソフトアンドウェット・ゴ...
今作はこれまでの荒木さんの作品と比較すると矛盾点が多く、その理由としてその1でも書いたように3.11.発生わずか2ヶ月後にそれらの事象を盛り込んで、急遽連載をスタートしたという経緯が大きいと思われます。それでも可能な限り...
『今作のテーマ=等価交換』 本編のストーリー・ラインと直接は関係のない話ですが、東方常秀が遭遇するミラグロマンの回がありますよね。実は荒木さんはこれとほぼ同じ内容を前作『スティール・ボール・ラン』の中でも描いています。聖...
『多くの伏線が回収されない、謎だらけの迷作?』 最終巻が発売され、半年近くが経つ本作ですが、書かなきゃなぁ〜と思いながらもずっと手がつけられませんでした。理由としては「訳分かるか、こんなもん!!!」、それが嘘偽らざる正直...
『なぜ、世界を救うのはミカサなのか?』 今作の最も大きな謎の一つとして、なぜ世界を救うのが主人公エレンではなく、ミカサなのかが挙げられます。言い換えれば、なぜ始祖ユミルはエレンではなく彼女を選んだのか? それを紐解いてい...
『政治の先へ、その集積である歴史を描く』 「進撃の巨人」は全34巻を大きく分けると、3つのパートがあると思っています。まずは壁外の巨人に対しての反攻作戦とその失敗を描いた1巻から7巻まで。物語全体の掴み部分であり、少年漫...
『本当の政治の過酷さ』 エルヴィンは「己のたぎる欲望=この世界の真実を知りたいという圧倒的な知識欲」の遂行のために、「社会が求めるもの=巨人の秘密を解き明かし、その知識でもって彼らを駆逐すること」を利用します。つまり自身...