雨夜の月

雨の夜に空を見上げると、当然ながら見えるのはただ暗闇ばかり。でも僕らは知っています。この闇と雨しぶきの向こうに「お月様」という、厚い雲のベールを突き破ることはできないけれど、それでも何やらしっかりと光を放つ、特別な存在があるということを。

雨の夜に空を見上げ、その先に輝く月を想像する。

この世の中に溢れている「作品」という名の「他人の人生」を丁寧に読み込んでいくことで、闇と雨しぶきの向こうにまたたく、淡く、おぼろげな、けれども確かな「人の生き様」という摩訶不思議な光が見たい。

それは所詮、妄想です。だって雨夜に月なんて見えやしないんだから。所詮、人は他人の心の中なんて永遠に分かりっこないんですから。

でもね、そうやって他人の人生を想像することで。今日よりは明日、明日よりはあさって。今よりちょっとだけ、マシな人間になろうではありませんか。そうでなきゃ、歳なんて取ってられないよ。と、今年で46歳になる僕は思うんですが……。

2019.4.24 Amaya