人は絶対に分かり合えない、「こちらあみ子」が突きつけた絶望、そして ─ その2
『あみ子=この社会の外で生きる者』 『こちらあみ子』がなぜ大傑作たり得たのか。当然ながら一言で語り切れるものではありませんが、それでも最も大きな理由として、今村さんが「あみ子」を発明したからに他ならないでしょう。この一大...
『あみ子=この社会の外で生きる者』 『こちらあみ子』がなぜ大傑作たり得たのか。当然ながら一言で語り切れるものではありませんが、それでも最も大きな理由として、今村さんが「あみ子」を発明したからに他ならないでしょう。この一大...
『日本文学史に残るであろう大傑作』 小説家(芥川賞作家)、今村夏子さんのデビュー作であり、かつ大傑作である『こちらあみ子』を読んだ人なら頷いてくれると思うのですが、初読後はちょっと言葉が出ませんでした……。なぜならこの作...
『連作を通して、浮かび上がってくるもの』 この本では3度の離婚を経て、シングルマザーとして4人の子供を育てるに加え、そのために就いた様々な職業体験や自身を苦しめたアルコール中毒。脊椎側彎症とそれに端を発する幼少期に受けた...
『呪いとの対峙』 読まれた方なら分かる通り、彼女の人生は通常なら、何度も生き直さないと経験できないようなそれはユニークなものでした。 さらにユニークさに加え、それ以上に壮絶な人生でした。 これは人生に暗い影を投げかける壮...
『ルシア・ベルリンという人生』 本屋を巡っていると何の予備知識もないのに、ふとある本を手に取り、買ってしまう、そんな事ってありますよね。さらにそれが大当たりだったりする。僕の場合、そんな嗅覚を刺激する要素の一つに本の持つ...
『暴力=父の呪い』 パラニュークが本作で夢見たもの。それは男たちが皆、己の肉体を互いの拳でもって徹底的に痛めつけ、その結果、己がただの「物質」に過ぎないと理解すること。世界を受容し、敗北を受け入れ、それによって資本主義か...
『パラニュークがこの作品で提示したもの=小説と映画の最大の違い』 デヴィッド・フィンチャー監督の映画版も小説に負けず劣らず素晴らしい出来映えでした。しかし大きな違いがあるのがラストシーンです。 小説版では主人公の「アイコ...
『斬新な内容に、斬新な文体』 この小説は内容がとびっきりなだけでなく、手法もまた、それに見合った見事なものでした。僕はこれを数時間で読み終えました。もちろん面白かったのが最大の理由ですが、それしても、この読みやすさは何だ...
『溝口力丸さん、どうもありがとう』 2019年現在、広告制作に携わる人間にとって厳しい世の中です。90年代まで人々は広告を「見る&読むべきもの」として「能動的」に咀嚼しようとしてくれました。しかし今やネットではCooki...
『溶けたチョコレートが意味するもの』 先に書いたその2では、本作品における最も大きな謎として、いとこが語るアパッチ砦とインディアンについて取り上げました。初版である「めくらやなぎと眠る女」では、明らかにこの『姿の見えない...