個人は世界を変えられるのか? 「進撃の巨人」で諫山創が描いたもの ─ その2
『真正面から【政治】を描いた漫画』 先に書いたその1で、「進撃の巨人」が他の漫画と比較した場合、出色としたのはこれまでのエンターテイメントが目を背けていた、難解で残酷な「現実」を真正面から描ききった事だと述べました。それ...
『真正面から【政治】を描いた漫画』 先に書いたその1で、「進撃の巨人」が他の漫画と比較した場合、出色としたのはこれまでのエンターテイメントが目を背けていた、難解で残酷な「現実」を真正面から描ききった事だと述べました。それ...
『壮大な物語を【閉じる】という偉業』 2021年6月に最終刊第34巻が発行され、10年以上の時を経て幕を閉じた「進撃の巨人」。昨今、大風呂敷を拡げすぎて、上手くまとまりや展開ができず、休載する漫画作品が多い中(個人的には...
『老女=母親の影』 先に取り挙げた「犬殺し」に次いで、女性にまつわる表現の中、もうひとつ不可解なものとして、サムの部屋のバルコニーの対面に住んでいるトップレスの老女が挙げられます。彼女は何匹ものオウムを飼いながら暮らして...
『犬殺しは誰か?』 映画は冒頭、カフェの窓ガラスに落書きされた「BE WARE THE DOG KILLER(犬殺しに気をつけろ)」の文字を屋内から俯瞰するカットで始まります。やがてカメラは室内をぐるっと見渡し、ちょうど...
『青春 = マギーの没落』 この映画で象徴的なのが、その1でも取り上げた監督の処女作『アメリカン・スリープオーバー』が劇中内に登場し、上映されていることです。シーンで言うと墓地で開かれるレイトショーですね。ここは非常に手...
『一体この映画は何を撮っているのか?』 今作はこれまでのデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督作品と比較すると、明らかに不可解で不明瞭。無駄も多く、チープに感じられます。しかもそれが140分もの間、観る人にとっては耐えがた...
『喪失とその先を描き続ける作家、デヴィッド・ロバート・ミッチェル』 21世紀の「スタンド・バイ・ミー」と呼ぶべき傑作、「アメリカン・スリープオーバー」に続き、「イット・フォローズ」の大ヒットで監督としての地位を確立したデ...
『あんたの話を聞かせてよ』 間宮邦彦はそう言って、被害者の心の隙間に入り込もうとします。話すのは俺じゃない、あんただ。そうやって人が普段心の奥底に隠している憎悪をあぶりだし、解放させ、殺人へと導いていく。憎悪は「夫婦(千...
『不安はあんたの中にある』 映画タイトルが『CURE=治療』である以上、当然ながら前提として治されるべき病(やまい)が存在する訳であり、間宮はその治療者です。彼は被害者の中から「憎悪」を抽出し、それを「暴力」として解放さ...
『猿のミイラが意味するもの』 ポスター等のメインビジュアルでも大きく扱われている不気味な猿のミイラ。胸に×印が刻まれ、さらに手足も同様に×印で交差しています。このシーンより先、映画は決定的に転調します。 「リアリズム=現...