「アンダー・ザ・シルバーレイク」は、70年代生まれの男たちへの鎮魂歌 ─その4
『犬殺しは誰か?』 映画は冒頭、カフェの窓ガラスに落書きされた「BE WARE THE DOG KILLER(犬殺しに気をつけろ)」の文字を屋内から俯瞰するカットで始まります。やがてカメラは室内をぐるっと見渡し、ちょうど...
『犬殺しは誰か?』 映画は冒頭、カフェの窓ガラスに落書きされた「BE WARE THE DOG KILLER(犬殺しに気をつけろ)」の文字を屋内から俯瞰するカットで始まります。やがてカメラは室内をぐるっと見渡し、ちょうど...
『青春 = マギーの没落』 この映画で象徴的なのが、その1でも取り上げた監督の処女作『アメリカン・スリープオーバー』が劇中内に登場し、上映されていることです。シーンで言うと墓地で開かれるレイトショーですね。ここは非常に手...
『一体この映画は何を撮っているのか?』 今作はこれまでのデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督作品と比較すると、明らかに不可解で不明瞭。無駄も多く、チープに感じられます。しかもそれが140分もの間、観る人にとっては耐えがた...
『喪失とその先を描き続ける作家、デヴィッド・ロバート・ミッチェル』 21世紀の「スタンド・バイ・ミー」と呼ぶべき傑作、「アメリカン・スリープオーバー」に続き、「イット・フォローズ」の大ヒットで監督としての地位を確立したデ...
『あんたの話を聞かせてよ』 間宮邦彦はそう言って、被害者の心の隙間に入り込もうとします。話すのは俺じゃない、あんただ。そうやって人が普段心の奥底に隠している憎悪をあぶりだし、解放させ、殺人へと導いていく。憎悪は「夫婦(千...
『不安はあんたの中にある』 映画タイトルが『CURE=治療』である以上、当然ながら前提として治されるべき病(やまい)が存在する訳であり、間宮はその治療者です。彼は被害者の中から「憎悪」を抽出し、それを「暴力」として解放さ...
『猿のミイラが意味するもの』 ポスター等のメインビジュアルでも大きく扱われている不気味な猿のミイラ。胸に×印が刻まれ、さらに手足も同様に×印で交差しています。このシーンより先、映画は決定的に転調します。 「リアリズム=現...
『世界的作家、黒沢清のブレイク作』 エンターテインメントの皮を被った純文学、いや哲学書。僕が初めてこの作品を見た時の第一印象はそれでした。当時アカデミー賞を独占した映画『羊たちの沈黙』の大ヒットによって、サスペンスやミス...
『崩壊の予兆』 物語が決定的な転調を見せるのが、子供たちの誕生会だということで母に家を追い出された「わたし」が、バスで三十分もかかる喫茶店へと繰り出し、そこで試験勉強しようとするも、どうしようもなく眠気に襲われるシーンで...
『あみ子の先へ』 先に書いた『こちらあみ子』の評論で、僕はあみ子とはある種の「システム」であると述べました。システムとは【全体を統一する仕組みや方式】であり、まるで意思があるかのように自立的な運動を行います。前作において...