「神」はつながりに宿り、その姿を現す 「チ。—地球の運動について—」 その7【完】
『本作の裏主人公ノヴァク』 今作はラファウを起点として、地動説に触れた彼の「感動」を、見ず知らずのオクジーやバデーニ、ヨレンタ、ドゥラカらがリレーし、紡いでいく「群像劇=複数の登場人物が進行させていく物語」であり、主人公...
『本作の裏主人公ノヴァク』 今作はラファウを起点として、地動説に触れた彼の「感動」を、見ず知らずのオクジーやバデーニ、ヨレンタ、ドゥラカらがリレーし、紡いでいく「群像劇=複数の登場人物が進行させていく物語」であり、主人公...
『知性とは何か?』 今作は大きな流れとして、C教=キリスト教の「呪い」から脱却し、「宗教」から「知性」の時代への移行を描いていますが、それでは魚豊さんは暗黒の中世ヨーロッパを生み出した「宗教=神」を忌むべき存在と考えてい...
『人はまだ、未来と向きあえない』 ここまで、魚豊さんが創作した「地動説が弾圧される=天動説が真実とされる世界」とは①暗黒の中世ヨーロッパであり、②宗教=神というシステムを発明した人間が、逆にそのシステムに呑み込まれた愚か...
『人間の獣性を、宗教で去勢する』 今作における「地動説が弾圧される=天動説が真実とされる中世ヨーロッパ世界」というのは主に3つのメタファー(物事の例え)であり、その2つ目が『宗教=神というシステムを発明した人間が、逆にそ...
『なぜC教=キリスト教はヨーロッパを支配できたのか?』 僕は一時期ヨーロッパの大まかな歴史の流れを識りたいと思い、ザッとではありますが、幾つかの本を読み漁ったことがあります。その一番の理由がキリスト教に関してでした。現在...
『構造的な数々の仕掛け』 今作を読んで、前作との違いとして最も感じたのが「構造的な仕掛け」の数々でした。これが作品の背骨となって、しっかりと一本筋が通っているからこそ、物語が破綻せず、きちんと積み上げていける。実はこれっ...
『感情こそ、世界を動かす原動力である』 これを書いているのは2024年10月ですが、ちょうどアニメ公開の時期と重なったこともあって、ずっと書こうと思っていた今作を題材に選ばせて貰いました。それに伴い全巻再読したところ、初...
『自我と、自己への探求』 自我(エゴ)と自己(セルフ)の関係性についてですが、村上さんはこれまでにもかなりこだわって追求しており、その5でも述べた『若い読者のための短編小説案内』では日本の代表的小説家らをその視点から紐解...
『村上春樹が、語り続けてきたもの』 今作で面白いのが、巻末に村上さん自身の筆による「あとがき」が付いていることです。過去作のリブート(再起動)だから、説明が必要だろうと思い書いたと述べていますが、中でも興味深かったのがそ...
『第一部と、それ以降の違い』 今作は冒頭部では主人公「私」の生い立ちと「きみ」との出逢い、そして別れ、さらに壁の中の街での暮らしが交互に描かれていきます。正直この冒頭から単行本で185ページまでの「第一部」を読むのは個人...