「CURE キュア」が暴く、人間の憎悪 ─ その4【完】

『あんたの話を聞かせてよ』 間宮邦彦はそう言って、被害者の心の隙間に入り込もうとします。話すのは俺じゃない、あんただ。そうやって人が普段心の奥底に隠している憎悪をあぶりだし、解放させ、殺人へと導いていく。憎悪は「夫婦(千...

「CURE キュア」が暴く、人間の憎悪 ─ その3

『不安はあんたの中にある』 映画タイトルが『CURE=治療』である以上、当然ながら前提として治されるべき病(やまい)が存在する訳であり、間宮はその治療者です。彼は被害者の中から「憎悪」を抽出し、それを「暴力」として解放さ...

「CURE キュア」が暴く、人間の憎悪 ─ その2

『猿のミイラが意味するもの』 ポスター等のメインビジュアルでも大きく扱われている不気味な猿のミイラ。胸に×印が刻まれ、さらに手足も同様に×印で交差しています。このシーンより先、映画は決定的に転調します。 「リアリズム=現...

「CURE キュア」が暴く、人間の憎悪 ─ その1

『世界的作家、黒沢清のブレイク作』 エンターテインメントの皮を被った純文学、いや哲学書。僕が初めてこの作品を見た時の第一印象はそれでした。当時アカデミー賞を独占した映画『羊たちの沈黙』の大ヒットによって、サスペンスやミス...